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セルゲイ 草柳
Sergey Kusayanagi
セルゲイ 草柳
セルゲイ草柳は、自らを好んで放浪者と称す。風任せに彷徨う中、宙にひらひらと舞う和紙は広大な空に刻まれるのだが、そこに浮かぶ雲の切れ目からは、インクの海に浸かる月光がいくつもさしている。
我らがバガボンドの世界を特徴づけるのは、強い存在感を放つ自然の要素だ。セルゲイ・Kはかつて、変化しつつある社会から離れた野生の山中に身を置き、裸一貫で暮らしたことがある。
この大地に根付いた経験が、セルゲイ・Kを作り上げ、ただ独り、自らの力で物事をやり遂げることを教えた。
私がセルゲイ・Kについて多くを語ったのは、この男が自らの写真の一部であるからだ。実際、道行く人、ストリートミュージシャン、路上生活者らに強い他人性を感じながらも必ず共感を覚え、写真家は彼等のシルエットを介してたびたび登場する。
自身の影もまた、繰り返されるテーマだ。太陽に押され、地面に形を合わせ、あるいは闇に消え、体は形を変える。「これは確かにこの地球に立つぼくなのか」と自問しているようだ。
セルゲイ・Kは写真の上だけではなく、紙の中にもいる。
人はたやすく「写真を撮る」と言うが、セルゲイ・Kの場合は物理的な意味で「写真を作る」と言うべきだろう。
museum furin-an
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